ドロドロのエンタメ小説「わたしの神様」小島慶子作~あらすじと感想~

一般小説

女性たちの性格の悪さに辟易しつつも、面白いので一気読み!女子アナとして眩しく華やかな世界にいる彼女らの、他者への嫉妬、蔑み、野心、優越感、執着などなど…が、まぁすごい。3人の女性を主軸に物語が進むのですが、それぞれの目線に頻繁に切り替わるので、彼女らの内心のドロドロが直球で読み手に届き、飽きさせられません。たまには頭を使わずドロドロのエンタメを見たいな~という方に、おすすめです笑

あらすじ

視聴率低迷の番組を立て直すため、敏腕プロデューサーの藤村は、業界ナンバーワンのアイドルアナ仁和まなみを起用。知的なニュースキャスターへと転身をとげたい彼女は、権力欲にまみれ保身に走る男たちや、敵意むき出しの女たちによってやがてスキャンダルの渦に引きずり込まれる。女たちの嫉妬・執着・野心を描く、一気読み必至の極上エンタメ小説。

ネタバレありの感想

主軸となる3人の女性の一人目は、ミスキャンパス出身、抜群の好感度で不動の人気を誇るアイドルアナ、仁和まなみ(27歳)。「私には、ブスの気持ちがわからない」小説一発目からこのセリフ。彼女の考え方には全く共感できないと思いながら読み進め、自分の身を守るため、姉の婚約者平木との結婚をあっさり決める転身の早さには心底嫌な気持ちにさせられ、フルヌード写真が出回るという大スキャンダルに巻き込まれたときには、それでも闘志を失わない彼女にいっそ清々しさを感じた。

二人目は、産休に入るニュースキャスター、佐野アリサ(34歳)。彼女も尊大な自尊心を持っており、アイドルアナを見下しているが、いざ自分に危機が訪れると、保身のため性別違和者であるルイに記者会見を迫るなど、彼女の身勝手さと薄っぺらさに気分が悪くなった。


三人目は、美人ディレクターである立浪望美(34歳)。東大卒で仕事ができる彼女は、とにかく男と並びたい。才能を評価してほしい。だから自己顕示欲がすごい。しかし、対等対等と息巻く望美について、本文では、「自分がそうやって無意識に男に権威づけをしていることに気づいていない」と書かれていて、この一文は妙に印象的だった。

ここまで感想を読んでわかると思いますが、単に悪口を書いています。笑
そして、嫌な人物にはちゃんと(?)不幸が訪れます。これもエンタメ要素かもしれません。でも、1つ思ったのでは、彼女らが、皆、親(特に母親)との関係に問題を抱えているということ。このことが、彼女らのここまで強固な価値観の形成に影響を与えているのは間違いないと思います。

ちなみに、ルイや金井、夏樹など、少数ですがまともな(?)性格の人物も出てきます。そこで少し心が浄化されますが、基本はドロドロな内容です。でも、引き込まれて一気読み。なんだか、続きが気になって止まらない韓ドラを見ているような感じでした。

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