小説「七瀬ふたたび」作:筒井康隆(星雲賞受賞作・超能力SF~あらすじとおすすめ理由~)

一般小説

第7回星雲賞を受賞し、過去に5回も映像化されているSF小説です。1975年発行された一昔前の本なのですが、評判通りめちゃくちゃ面白かったので、今回紹介します!

「七瀬ふたたび」あらすじ

生まれながらに人の心を読むことができる、美しきテレパス火田七瀬は、人に超能力者だと悟られるのを恐れて、お手伝いの仕事をやめ、旅に出る。その夜汽車の中で、生まれて初めて、同じテレパシーの能力を持った子供ノリオと出会う。そのあと、次々と異なる超能力の持ち主とめぐり会った七瀬は、彼らと共に、超能力者を抹殺しようとたくらむ暗黒組織と血みどろの死闘を展開する。

この小説の魅力~ここがイイ!~

最初の1ページ目から引き込まれます。読書によくある、面白くなるまで数ページは我慢して読み続ける、といった体験すらもありません。テレパスである七瀬が読み取る他人の思考は、どうしようもないほど赤裸々です。人の思考の汚い部分や欲がリアルで、特に美人の七瀬に対する男たちの野卑な意識には。。。テレパス、これはきついだろうな…と若干同情すら覚えます。
しかし、たった20歳の七瀬ですが、彼女は頭が良い上に、幼少期からこの能力と付き合っているせいか、非常に論理的に物事を突き詰めて考える人物です。年齢以上に落ち着いていて、理性的かつ冷静に相手の思考を分析しており、彼女にはとても好感がもてます

また、この小説の魅力は、圧倒的筆力によるハラハラ感、スリル感です。七瀬は汽車の中で生まれて初めて同胞(自分と同じ超能力者)に出会うのですが、それはなんと3歳の男の子でした。その時の彼女の衝撃がこちらまで伝わってきます。そこから七瀬が周りの乗客に気づかれぬよう男の子と接触を図っていくのですが、そこからすでにこの物語のハラハラ感が始まっています。七瀬は、他にも様々な超能力者に出会うことになるのですが、その場面はどれも高い知能をもつ大人能力者たちとの掛け合いで、その心理戦には鳥肌が立ちます。そしてある時、七瀬は不吉な敵の存在に気が付きます。そこからは否応なく死闘が繰り広げられていきます。
SFと言えば、宇宙や近未来などの背景設定が多いですが、この小説の舞台は私たちが今生きているような普通の現実の世界で、そこに隠れて点在している超能力者、という設定に面白みを感じます。(また、昭和に発行された本なので、時代背景もちょっと懐かしい感じがあります)

読後感は、「呆然」といったところでしょうか。。。ネタバレになるのでこれしか言えませんが…。
とにかく面白くてページを捲る手が止まらないこと保証します!

実はこの本は、「七瀬シリーズ3部作」と言われるうちの第2作目なのですが、1より断然面白く、しかも1を読まなくても全く影響ないので、というほぼ別の話なので、初めての方は本書から読むのを強くおすすめします!!(これがハマってから、1や3に手を出してもいいと思います。私もその順番で読みました)

※男性が女性に乱暴するようなシーンがありますので、苦手な方は控えてください

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