「永遠についての証明」感想・レビュー・あらすじ

人間ドラマ小説

圧倒的筆致で、若き天才の青春が描かれた、野性時代フロンティア文学賞受賞作。悲しく、美しく、そして温かさが残る、素晴らしい小説でした。

あらすじ(本書紹介文より引用)

圧倒的「数覚」に恵まれた三ツ矢瞭司、同じく特別推薦生として数学科に入学した熊沢、佐那の3人は、共同研究で画期的な成果を上げる。瞭司が初めて数学の美しさを他者と共有できた瞬間だった。しかし瞭司の才能は、築いた関係性を破壊していく―瞭司の死から6年、熊沢は遺されたノートに、未解決問題の証明らしき記述を発見する。

感想(ネタバレ無し)

数学については何も分からない私も、天才が見ている世界を真に迫る形で追体験できました。若い頃の才能の爆発、嫉妬、友情、恋、そして大人になってからの現実との折り合い、葛藤、孤独、後悔..。天才でない私たちも経験する普遍のテーマに、読みながらのめり込んでいました30代、40代に刺さる本ではないでしょうか。悲しさと同時に、明るい光が見える読後感です。

感想(ネタバレあり)

大学時代、才能を爆発させながら共に数学を追究し、かけがえのない時間を過ごした3人。しかしやがて、それぞれが異なる道を歩むことになります。

特に瞭司と熊沢の関係の変化には、ぐっと心を鷲掴みされ、切なさ、悲しさ、安堵、温かさをごちゃ混ぜにして揺さぶられたような感情になりました。

瞭司の最期は、あまりにも切なかった。孤高の天才なんて言葉はよく聞きますが、瞭司だって、天才であると同時に仲間や友達を切実に求める「人間」で。でも、彼は天才すぎ、純粋すぎ、それは否応なく周りに影響を与え、それが彼にとっての不幸でした。

瞭司の晩年の孤独には、本当に胸が締め付けられました。

そしてこの作品を読んで、数学とは単なる計算ではなく、宇宙の真理に触れようとするような営みなのだろうとぼんやりと把握しました。自分には決して覗けない世界なのだろうけど、その奥深い世界を小説を通して覗かせてもらえることがありがたかった。そして同時に、人間の才能や見えている景色には、ここまで大きな差があるのだと圧倒されました。

また、一度は瞭司と袂を分かち、現実的に自らの人生を懸命に歩んできた熊沢が、再び瞭司の証明と真正面から向き合う姿には胸が震え、ついに瞭司の「プルビス理論」の存在が世に知らしめられたということも、もはや瞭司が知ることもないということが、どうしようもなく切なかった。それでも彼の証明は永遠に生き続けるという希望の光が、心の中に温かく残りました

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