「華岡青洲の妻」感想・レビュー・あらすじ

人間ドラマ小説

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面白かった…!

めったに出会えない名作に久しぶりに出会えた気がしました。読み応えを求める方へおすすめです。

江戸時代の外科医で、世界最初の全身麻酔による乳癌手術に成功した人物「華岡青洲」。この業績の陰には、麻酔剤を完成させるために自らを人体実験に捧げた妻と母がいましたーー。この美談の裏で繰り広げられる、青州の愛を争う嫁と姑、二人の女の激越な葛藤が、本書の1番の見どころです。二人の微妙な心理戦が緻密に描かれ、ビシビシと伝わってきます。

また、現在私たちが当然のように享受している医療技術の発展のために、過去にどれほどの医学者たちの努力、情熱、覚悟、そして人々の犠牲があったのか、突きつけられた作品でもありました。

あらすじ(ネタバレ無し)

武家の娘である加恵は、医家の「華岡家」に嫁ぐことになった。迎え入れてくれた姑の於継は、たいそう美しく、思いやり深い女性で、嫁の加恵に温かく接する。ただ、夫となる雲平は、半年間も仕事で京都へ出ており、未だ彼が不在のまま加恵は婚礼をあげた。ある日ようやく雲平が実家に戻ってきた。とうとう加恵は雲平と顔を合わせる――そのとき加恵は、於継の突然の態度の変化に戸惑うこととなる。――そこからページを捲る手がとまらなくなります。筆力の高い作家さんによる、緻密で流れるような女同士の心理戦にのめり込みました。

感想(ネタバレあり!)

※これから本書を読みたいと思っている方は、この先は読まないでください!!

青州が実家に戻ってきて、とうとう嫁の加恵と顔を合わせる時がきたとたん、於継の態度が冷たく一変。筆力の高い作家さんによる、緻密で流れるような女同士の心理戦にのめり込みました。加恵が、本格的な麻酔剤を飲み、やっと目覚めた時に於継が1人涙するシーンはまさに名場面。息子夫婦の愛を見せつけられた衝撃、自分は軽い薬しか試してもらえなかった失望、そして嫉妬と安堵とが複雑に入り混じった涙が、周りからは綺麗な涙に見えるという…。この場面、なんか一生心に残りそう。

一方で、青州は、妻と母の自分をめぐる争いにあくまで淡々と向き合っていて好感がもてます。というか、こうするしかないよな…と。妻と母の2人から、ぜひ自分達を人体実験に使って欲しいと迫られ、2人の言い争いを眺めながら逡巡し、しかしだんだんと葛藤は消え、結局は実験を決断する彼のプロ意識と情熱に、ほうっとため息がでました。

封建社会を生きていない自分には、息子にいつまでも執着する於継がちょっと異様に見えましたし、どうしても加恵の方に感情移入してしまう。なので、夫婦の愛がだんだん育まれてきて、実験後に口移しで水を与えるところなどの描写に少しだけドキドキしました。最終的に青州の愛を勝ち取ったのは、妻である加恵。ついでに失明したことも、世間からの彼女への賞賛を強めることとなりました。この辺が、いろいろな感情にされつつも読後感よく終えられた理由だと思います。いや〜、久しぶりに読み応えある、面白い本を読みました。

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