世界的名作の古典と聞いて身構えていましたが、全く難しくなく、流れるようなストーリーでびっくり。続きが気になって気になってページを捲る手が止まらず、連日寝不足になりながら読み切りました。甘酸っぱいラブストーリーで楽しい。これが200年以上前に書かれたものだなんて驚愕です。
あらすじ
(NHK 100分de名著より引用)
厳しいイギリスの階層社会の中で、男子がいないベネット家では、娘たちが上手く結婚相手をみつけなければ、財産を受け継ぐことができません。一刻も早く婿を探そうとする母は、娘エリザベスに卑屈で尊大な牧師と結婚させようとしますが、知的で才気にあふれたエリザベスには到底受け容れがたいのです。そんな中、彼女は、二人の魅力的な男性に出会います。そのうちの一人ダーシーは、紳士然としながらも態度が鼻持ちなりません。もう一人のウィッカムに事実と異なる偏見を吹き込まれ、ますます心が離れていくエリザベス。しかし、二人は偶然ともいえる幾度かの再会の中で、いつしか惹かれあっていきます―
物語は、エリザベスとダーシーの恋愛が、障害を乗り越えて成就するかどうかを巡って展開していきます。
この小説の魅力~ここがイイ!~
作者の鋭い人間観察と精緻を極めた心理描写が素晴らしい。ストーリーも面白過ぎて、発行年が1813年だなんて本気で驚きました。日本でいうと江戸時代だよ…。
テーマ自体も、結婚を考える女性の悩み「幸福な結婚にはどんな人が理想の相手なのか」「経済的理由で好きでもない人と結婚していいものだろうか」などという、今日にも通じる身近なテーマなのです。
主人公のエリザベスは聡明で元気はつらつな女性。ダーシーは上品で礼儀正しく教養の高い、これぞ英国紳士といえる男性。非常に魅力的な二人だけれど、それぞれのプライドと偏見ですれ違います。
ですが、それぞれ自分の愚行を恥じたり反省したりができる人達だから釣り合っている二人だと感じます。
登場人物の中には、反省どころかそもそも自分の愚行に一生気づかないようなタイプの人間もいて、作者の鋭い人間観察力が遺憾なく発揮されています。私も、彼らの言動を読みながら、ああ、これが知性の差というものか…と感じるとともに、人の嫌な面もユーモラスに描き不快感も全く感じさせない点がすごい。
みずみずしく、読後は幸福な気持ちにさせてくれる小説です。
また、当時の時代背景と文化を知らない私にとっては、それらを知る上でも非常に興味深かったです。例えば、当時のイギリスの上流階級は結婚において上下の格差がここまで意識されていたのかとか、
彼ら基本毎日のんびり(トランプや読書やおしゃべり)していて暇そうだなと思っていたら、「労働をしないことに誇りをもっている」のだと知って目から鱗だったり…。
読書って、素晴らしいな、と改めてしみじみ感じた一冊でした。